ずっと待っていた、シルクが出来ました。

What’s SHIDORI

SHIDORIについて

SHIDORI
今では幻の織物と言われる「倭文(しどり)」。
古来より日本特有の織物は“しどり”と呼ばれ、神への献上物として奉納されてきました。
長年にわたり脈々と受け継がれてきたシルクの文化を継承し、
未来へとその可能性をつなげたいという思いから、
この革新的なシルクをSHIDORIと名づけました。

※「SHIDORI」は法廷通常実施権の1つである先使用権を取得しています。
 「平成24年第291号認証証書」

一般的に言われる「洗えるシルク」は、シルクの表面を樹脂コーティングや撥水加工することによって保護する方法が多く採用されています。
しかしこの方法では、シルクの表面は保護できても、肌に触れる部分は樹脂ということになり、効能は化学繊維と変わりません。
また、シルク特有の風合いも損なってしまうため、決して万能とは言えませんでした。
「SHIDORI」は生地に加工を施すのではなく、天然のシルクが持つ良質のタンパク質(アミノ酸)に注目して開発されたまったく新しい技術です。
風合いはもちろんのこと、シルク本来の性質を損なうことなく、家庭の洗濯機で洗える強度を実現しました。
この技術により、例えば下着やタオルといった、毎日洗濯が必要なものに対しても、ピュアなシルクを使用することが可能になったのです。

SHIDORIのウォッシャブル新基準
1. 色落ちしにくい(高い堅牢度)
2. 樹脂・撥水コーティングしない
3. 風合いが変化しにくい
4. 洗濯を30回以上繰り返しても劣化が少ない
5. 収縮率が安定する

「手洗いではなく、家庭用洗濯機を使用した一般的な洗濯」という条件のもとで、
以上5つの問題解決を目標に開発されたのが「SHIDORI」です。

 

1. 色落ちしにくい(高い堅牢度)

山嘉精練の染色技術は非常に高く、耐光、洗濯、汗、ドライクリーニング、摩擦など5項目で品質基準を上回る4以上の評価を得ています(通常平均値は3)。色落ちが最も心配される黒でも堅牢度が高いため、色落ちの心配がありません。洋装にシルクを使用しようとすると、生地を織りあげた後に高温での整理加工や、生地の上からプリント染色など様々な後加工が要求されるため、堅牢度の強い染料のセレクトが必要になります。しかし、一般的な染色時間よりも約5倍もの時間がかかり、また長時間の染色でシルクの素材を傷めてしまうおそれがあります。
これらのリスクを回避するために、20年以上に渡って染色方法の技術革新に取り組んできました。高い技術力と設備投資、企画力を基に、これらの問題解決に取り組み、試験機関からも高い評価を得ています。

堅牢度 試験結果
先染め生地 (糸の状態で染色し、染まった糸を織り生地にする。)
平織 (生糸21/2諸×21/3片 黒の場合)

試験項目
カケン品質基準
SHIDORI評価
耐光 (JIS-L0842)
3級以上
4級以上
洗濯(JIS-L0844) 変退色
4
5
汚染
2-3
4-5
洗液汚染
5
汗(JIS-L0848) 酸性 変退色
4
5
酸性 汚染
2-3
4-5
アルカリ 変退色
4
5
アルカリ 汚染
2-3
4-5
ドライクリーニング(JIS-L0860) 変退色
4
5
汚染
3
4
摩擦(JIS-L0849) 乾式
3
4-5
湿式
1-2
4
寸法変化率(%)103法(アタック) タテ
±3
-0.8
ヨコ
±3
-0.8
(株式会社消費科学研究所調べ)

・上記試験結果は数値を保証するものではございません。
 素材の産地や織り方・編み方により結果が異なる場合がございますので、あくまでも目安としてご覧ください。

2. 樹脂コーティングや撥水加工をしない
一般的に言われる「洗えるシルク」は、シルクを樹脂コーティングまたは撥水加工することで、表面を保護する方法が多く採用されています。しかし、この方法ではシルクの表面は保護できたとしても、結局肌に触る部分は化学的に加工されたものということになり、効能は化学繊維と変わりません。また、シルクの弱点は補えたとしても優れた光沢や風合いを損なうようなデメリットが伴い、万能とは言えませんでした。SHIDORIはシルクの表面に加工を施すのではなく、シルクが持つ良質タンパク質(アミノ酸)に注目したまったく新しい技術です。

3. 風合いが変化しにくい
樹脂コーティング、撥水加工を施していないため、シルク本来の光沢のある風合いはもちろん、肌に優しいなめらかな着心地もそのまま感じていただけます。

4. 洗濯を30回以上繰り返しても劣化が少ない
一般的なシルクは、水を含んだ状態では摩擦抵抗に非常に弱いため、洗うことが困難とされています。濡れたシルクを揉むとシルクの表面が擦れ合いすぐに毛羽立ってしまい、光沢や風合いが損なわれます。また“濡れる”と“乾かす”を繰り返すと素材自体が硬くなり、まるで和紙のような風合いに変化し、最終的には生地自体が裂けてしまいます。一方、SHIDORIの技術を用いて製作したシルクを試験機関に持ち込んだ結果、同じ番手であればコットンよりも強く、耐久性の高いシルクであることが証明されました。

5. 収縮率が安定する
タンパク質が主成分のシルクはアルカリ(合成洗剤や石けん)に弱く、また濡れた生地を乾かす際には硬化による風合い低下と収縮が起こりやすくなります。SHIDORIは[4.]の洗濯テストにおいて、洗濯後の硬化を軽減するだけでなく、収縮率も安定させることに成功しました。

シルクの染色方法の一般的な技法である継続浴槽染色ではなく、“単独浴槽染色”を採用しています。シルクは天然繊維であり、産地や収穫時期が異なれば同じレサイプであっても全く異なった色に染まることも珍しくありません。和装と違い、洋装のようなロット生産の場合、いつでも同じ色が必要となります。単独浴槽染色を採用し、色毎の染色レサイプを作成し染色することで色を数値化。職人の技量や感性、季節や天気に左右されることなく、各種ブランドデザイナーを中心とした顧客の求める色を何度でも繰り返し再現できるようになりました。

※継続浴槽染色
継続浴槽染色とは、最初に1つの浴槽に染料を入れてシルクを目的の色を染め、染色が完了すると、残った染料液の中に次に染めたい色の染料を追加しながら別の色を染めて行くという方法のことです。この染色方法は染色に使用した水を何度も繰り返し使用できるので水の使用量が少なくて済み、また少ない準備でたくさんの色を染めることができるのでとても効率のよい染色方法です。しかし、使用する染料液の中には毎回様々な違う染料が混ざり合うため染色の再現性は非常に低くなってしまいます。また、演色性も高く光源により見える色も変わってしまうという問題が起こります。一品物の多い和装商品では問題にならなかったため、現在もこの染色方法が絹糸の染色方法として多く採用されています。

一般的な染色時間の約5倍もの時間を要する染色方法を用いると、通常の精練方法では対応できません。様々な材料と技術力を駆使して上記の堅牢度の高い染色にも耐えられる精練方法を完成させました。この精練方法によって長時間の染色にも耐えられるだけでなく、タンパク質の分解量を自由にコントロールすることができるようになりました。

※精練
精練とは、セリシンとフィブロインの2重構造であるシルクのセリシン部分のみを取り除くことを指します。このシルクのセリシンを取り除くこと、即ち精練することによって、艶のない白色から光沢のある白銀色へと変化し、同時にドレープ性の優れた柔らかい風合いが生まれます。

 

シルク生地のプリント下※1を液流染色機※2で染色することが可能になりました。
従来のシルクは、濡れた状態での摩擦に非常に弱いため、染浴中で生地を循環させるだけで生地表面にスレや毛羽立ちが起こり、液流染色機の使用には不向きでした。しかしSHIDORIで製織した織物、編物であれば、液流染色機を使用することが可能に。SHIDORIの誕生は、後染め生地染色の分野においても画期的な革新をもたらしました。

・液流染色機の設備があってもシルクの扱いが得意/不得意など様々な染色工場がありますので詳細はご相談ください。

※1 プリントする前の白生地。生地の仕上げを行い、染色、帯電防止等二次加工前の生地のこと。通称P下。

※2 液流染色(えきりゅうせんしょく、jet dyeing)は、「ジェット染色」とも言われ、布(生地)を染液の流れに乗せて移動させながら染色する方法です。つまり、液流染色機の中で布を輪状につなぎ、染浴中で循環させながら染色していきます。循環させる手段は、ジェットノズルから噴射する液の流れを利用します。このような機構をもった染色機を「液流染色機」と言います。

協力会社で液流染色した堅牢度の試験結果は以下の通りです。
堅牢度 試験結果
後染め生地(生地の状態から染色した状態)
・シルクスムース 32ゲージ 黒 液流染色機使用
試験項目
カケン品質基準
SHIDORI評価
耐光(JIS-L0842)
3級以上
3級以上
洗濯(JIS-L0844) 変退色
4
5
汚染
2-3
4-5
洗液汚染
4
汗(JIS-L0848) 酸性 変退色
4
5
酸性 汚染
2-3
4-5
アルカリ 変退色
4
5
アルカリ 汚染
2-3
4-5
ドライクリーニング(JIS-L0860) 変退色
4
5
汚染
3
4-5
摩擦(JIS-L0849) 乾式
3
4-5
湿式
1-2
2-3
寸法変化率(%)103法(アタック) タテ
±3〜−6
−3.9
ヨコ
±3〜−6
−6
ピリング(級)(JIS-L1076) タテ 2 4
ヨコ 2 4
摩擦強度(回)(JIS-L1096 E法) 5000回 ◯(ノーマル生地) -(SHIDORI生地)
7500回 ◯(ノーマル生地) -(SHIDORI生地)
10000回 ◯(ノーマル生地) ◯(SHIDORI生地)
12500回 ◯(ノーマル生地) ◯(SHIDORI生地)
15000回 ×(ノーマル生地) ◯(SHIDORI生地)

・シルクフライス 24ゲージ 黒 液流染色機使用

試験項目
カケン品質基準
SHIDORI評価
耐光(JIS-L0842)
3級以上
3級以上
洗濯(JIS-L0844) 変退色
4
5
汚染
2-3
4-5
洗液汚染
4
汗(JIS-L0848) 酸性 変退色
4
5
酸性 汚染
2-3
4-5
アルカリ 変退色
4
5
アルカリ 汚染
2-3
4-5
ドライクリーニング(JIS-L0860) 変退色
4
5
汚染
3
4-5
摩擦(JIS-L0849) 乾式
3
4-5
湿式
1-2
2-3
ピリング(級)(JIS-L1076) タテ 2 4-5
ヨコ 2 4-5
破裂強度(JIS-L1096 A法) 洗濯前 300 468
30回洗濯後(アタック) 436
30回洗濯後(エマール) 459

・ちりめん生地 黒 液流染色機使用

試験項目
カケン品質基準
SHIDORI評価
耐光 (JIS-L0842)
3級以上
3級以上
洗濯(JIS-L0844) 変退色
4
5
汚染
2-3
4-5
洗液汚染
3
汗(JIS-L0848) 酸性 変退色
4
5
酸性 汚染
2-3
4-5
アルカリ 変退色
4
5
アルカリ 汚染
2-3
4
ドライクリーニング(JIS-L0860) 変退色
4
5
汚染
3
4-5
摩擦(JIS-L0849) 乾式
3
4-5
湿式
1-2
3-4
寸法変化率(%)103法(アタック) タテ
±5
−0.5
ヨコ
±5
0.0
103法(エマール) タテ ±5 −1
ヨコ ±5 0.0
寸法変化率(%)105法(アタック) タテ ±5 −0.5
ヨコ ±5 0.0
105法(エマール) タテ ±5 −0.3
ヨコ ±5 +0.2
ピリング(級)(JIS-L1076) タテ 2 5
ヨコ 2 5
摩擦強度(回)(JIS-L1096 E法) 5000回 ◯(ノーマル生地) -(SHIDORI生地)
7500回 ×(ノーマル生地) -(SHIDORI生地)
10000回 ×(ノーマル生地) ◯(SHIDORI生地)
12500回 ×(ノーマル生地) ◯(SHIDORI生地)
15000回 ×(ノーマル生地) ◯(SHIDORI生地)
(株式会社消費科学研究所調べ)

上記試験結果は数値を保証するものではございません。
素材の産地や織り方・編み方により結果が異なる場合がございますので、あくまでも目安としてご覧ください。