News
お知らせ
展示会やメディア掲載その他日常のお知らせなど
3つの かさね色目
2020年9月25日
平安時代の貴族は、衿や袖口にあらわれる配色や仄かに透けて見える裏地の色など、
絹織物を重ねて着用することによって生まれる視覚効果を楽しみ競い合いましたが、
その煌びやかな世界を支えていたのは、当時の織染め技術でした。
例えば、織物を制作する過程においては、経糸と緯糸に違う色を使うことで
複雑な色合いを作り出すなどの工夫がなされ、また、染めの過程においても、
同じ紫色でも紫苑、藤袴、桔梗…と美しい名前の紫が何十色も染め上げられていたのです。
つまり平安時代には、表裏のかさね色目(合わせ色目)、
重ね着のかさね色目(襲色目)という「布」「衣」のかさね色に加え、
染色と織色の技巧によるかさね色目によって、四季の彩りを衣装の色目に
表現していたということになります。
平安装束の色彩は、人々の美意識と丁寧な手仕事の賜物なのです。