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四十八茶百鼠
2020年6月8日
身分と色を厳格に結びつけた歴史がある一方、身分に関わらず色を楽しんだ歴史も見られます。
例えば江戸時代後期、庶民は贅沢禁止法、いわゆる奢侈禁止令により、
紫や紅色などの華やかな色彩の使用は禁じられ、着物の素材は「麻」または」綿」、
色は「茶色」「鼠色」「藍色」のみと限定されていました。
しかし、茶色や鼠色といった暗い色のなかに繊細なこだわりを取り入れることにより、
「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)」と言われるほどの多様な色を
生み出したのです。
ここで使われている「四十八」「百」という数字は「沢山」という意味で使われており、
実際には茶系も鼠色系もそれ以上の色がありました。
今よりも「色」が貴重だったからこそ、現代では考えられないほど「色」に込められた
「想い」も深かったのでしょう。様々な制約のある中で、微妙な色の違いを楽しんでいた
江戸時代の人々の力強さを感じます。