ずっと待っていた、シルクが出来ました。

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古代の赤

 

古代の日本で、最も重要かつ好まれた色は「赤」でした。

赤は、太陽、炎、血液等、エネルギーや生命を感じさせるところから、

強い色=邪悪な者にも打ち勝つ色と認識され、縄文時代の頃には

すでに、魔よけの色として土器や日用品にも多く用いられていたのです。

中国の書物「魏志倭人伝」によると、卑弥呼は絳青稴(こうせいけん)と

呼ばれる織物を献上したとあります。絳(こう)が赤の事で、稴とは織物を

指している言葉です。

魏志倭人伝にはこの他にも「倭人は体に朱丹を塗っていた」とあります。

顔や体に顔料を塗って呪いやお祈りに用いる民族がいますが、この頃の日本人は

朱色の彩色していたと推察されます。

 

古墳時代にも石室内に多くの赤が使われました。

実際、柩に朱の粉を大量に敷き詰めていた古墳も発見されています。

茨城県ひたちなか市の虎塚古墳では、凝灰岩のうえに白色粘土で下塗りをし、

酸化鉄を用いた赤色顔料で模様が描かれています。

先史から古墳時代の人々は、特別な意味を込めて赤を使用していたようです。

祈念のための染色

 

古代の色彩と染色法の研究者である前田雨城さんの著書、

『日本古代の色彩と染め』によると、古代の人々は、自分の身を守るための

祈念と薬効効果を得るために、衣類を染色して身につけていたとされます。

 

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強い木霊の宿る草木は、薬用として使用された。薬草に宿る霊能が、

病気という悪霊によってひきおこされた病状や苦痛を人体からとりのぞき、

悪霊をしりぞける作用があるとされたのである。当時の衣類などの繊維品は、

その色彩を得るための草木を、いずれも薬草から選んでいるのは、

この理由によるのである。

 

なお、色彩起源説としては、恋愛色、種族区別色、戦闘色、その他各説が

存在している。それぞれ根拠を持った説であるが、古代日本の色彩起源として、

現存している色彩から考察する時、やはり薬用植物色と考えるのがもっとも妥当といえる。

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薬をのむことを服薬といいますが、古代人は、病気の原因となる悪霊が

体内に入り込まないように、色彩の強いものや悪霊がいやがる

臭いのきついもので衣類を染色してきたのです。

染料と身体の関係

 

最近では、染料と身体の関係も研究されています。毎日着ている衣服を通して、

皮膚から入っていくものが身体に影響を与えているというのです。

 

衣服を染める材料として、古くから使用されてきた薬草は少なくありません。

植物染料の中には、病気やけがを治し、健康を保つために使われるものも多くあります。

 

例えば昔は、女性は紅染めの肌着やお腰を付けていましたが、

紅は血行をよくする作用があるため、長時間身につける事で循環機能を

高める効果がありました。また、藍の匂いは、虫や蛇が嫌う作用があるため、

野良仕事の時に重宝されましたし、茜は滋養強壮や抗菌作用などに、

また、栗染めは皮膚病に効くとされてきました。

 

現代のように科学的根拠はなくとも、経験から植物を選び、

生活に役立ててきたのです。

色と染料

 

時代によって変化はありますが、総じて紫や赤は上層階級の色、

縹色(藍染)、桃色(一斤染め)、茶色、鼠色は庶民的な色とされてきました。

紫は藍と紅、又は紫草、赤は紅を染料とし、高価なうえ手間もかかるため、

庶民的ではなかったようです。縹色は藍染ですが、江戸時代になると綿の普及や

染色技術の向上により一般的になりました。桃色(一斤染め)は紅花染めですが、

紅の残り液で染めるようなものだったので安価です。茶は身近な植物すべてが持つ

タンニンを注出して染められ、鼠も身近な団栗や墨を使うので安価でした。 

 

今は高貴な色、庶民的な色などと気にして衣服を着る必要はありませんが、

日本の自然を豊かな感性で取り入れてきた先人に学びながら、美しい色彩を

日々の暮らしの中に取り入れていきたいものです。

四十八茶百鼠

 

身分と色を厳格に結びつけた歴史がある一方、身分に関わらず色を楽しんだ歴史も見られます。

 

例えば江戸時代後期、庶民は贅沢禁止法、いわゆる奢侈禁止令により、

紫や紅色などの華やかな色彩の使用は禁じられ、着物の素材は「麻」または」綿」、

色は「茶色」「鼠色」「藍色」のみと限定されていました。

 

しかし、茶色や鼠色といった暗い色のなかに繊細なこだわりを取り入れることにより、

「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)」と言われるほどの多様な色を

生み出したのです。

 

ここで使われている「四十八」「百」という数字は「沢山」という意味で使われており、

実際には茶系も鼠色系もそれ以上の色がありました。

 

今よりも「色」が貴重だったからこそ、現代では考えられないほど「色」に込められた

「想い」も深かったのでしょう。様々な制約のある中で、微妙な色の違いを楽しんでいた

江戸時代の人々の力強さを感じます。

季に合いたる色

 

日本独自の色の文化が花開いたのは平安時代と言われています。

飛鳥、奈良時代は中国の隋や唐の影響を多く受けていましたが、平安時代に

菅原道真が遣唐使を廃止した結果、日本独特の自然観が生じました。

 

こうした時代背景から ひらがなの発明があり、それを用いて歌が詠まれるようになります。

その時、主題となったのが季節感でした。

日本の四季の移り変わりを楽しみ、尊び、歌に表現していったのです。

 

また、源氏物語が生まれた平安時代、季節を敏感に感じて

「季に合いたる(季節に準じた)」色をまとい、生活の中に取り入れることも

貴族のたしなみとされました。

当時、着物に使用されていた絹は非常に薄く、裏地の色が表に透けて

独特の色味が現れたことから、人々は衣装一枚ごとの表裏の色合いや

光が透過した時に見える微妙な色合いの違いを楽しんできたのです。

日本の色彩

 

四季の移ろいの中に美の心を生みだした様々な色彩。

日本では古来より暮らしの中に多彩な色合いを取り入れ、繊細な色の世界を見出し、

その情趣を愛でてきました。

 

先人たちの豊かな感性は色名にも表れており、例えば「裏葉(うらは)色」という

名からは、葉の裏の色まで細やかな眼差しを注いでいた人々の姿を、

「青竹色、若竹色、老竹色」や「白茶色、鶯茶色、丁字茶」等の名からは、

暮らしに根付いた身近な草木にこそ敬意を払う人々の姿を感じます。

 

色彩にまつわる理解を深め、日本人が長い歴史の中で大切にしてきた

暮らしや美意識の一端を皆様にお伝えできればと思っております。

SHIDORIⓇメンズウェア from 阪急メンズ東京

『クリエイティブコンシャスな男たちの冒険基地』をテーマに2019年3月15日リニューアルした阪急メンズ東京。

 




SHIDORIⓇのメンズウェアがB1フロアで展開をスタートしました。

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上部手前が洗濯機で30回洗濯したSHIDORIⓇ

上部奥が洗濯機で30回洗濯したノーマルシルク

洗濯機で洗うと通常のシルクではダメージが出ることがはっきりとわかります。

 

阪急メンズ大阪では3月27日より。

 

2018年5月 NHK Eテレ放映

2018年5月20日〔日〕放映 NHK Eテレ『サイエンスゼロ』でSHIDORI®を取材していただきました。 連日の撮影でお世話になった関係者のみなさま方をはじめ、 実験のために弊社までお越しくださった ’黒ラブ教授’ ありがとうございます! SHIDORI®の洗濯実験も行いました。

2018年4月 Milan design week 出展

2018年4月17日 – 4月22日 Milan design week 2018に、SHIDORI®が出展しました。 マシンウォッシャブルシルクのリネンセットは、日本国内生産における最大幅のシルク100%サテン織です。 SHIDORI®は、マシンウォッシャブルシルクのリネンセット、リラックスウェアの開発を行っています。 Milan design week は、イタリア・ミラノで開催される世界最大のデザインイベントで、 Salone del Mobile.Milano も同時開催されます。 ミラノの街の中いたるところで、インスタレーションが行われ、インテリア、デザイン、工業に関する世界の感性が集結していました。 われわれは Fuorisalone と言われるエリアの、Duomoに近い地区で出展しました。 身体を休める時に、シルクを纏っていただきたい。 家庭用洗濯機で洗っても、スレや縮みのトラブルを解消できる、革新的なシルク強化技術です。 樹脂や撥水剤でコーティングしていない、シルク本来の気持ちよさ、ぬくもりを実感できます。